ASMR作品の「言葉」も理解したい:ローカル環境での文字起こし機能の実装
今回は、ASMR作品の「音の響き」だけでなく「何を話しているか」を理解するため、文字起こし機能を導入した経緯をお話しします。自分のパソコン内だけで動く仕組みを使い、プライバシーを守りつつ今後のレビュー生成の土台を作ることができました。
音の特徴から、作品の内容理解へ
これまでこのサイトでは、音の左右への広がりや鋭さといった物理的な響きを主に分析してきました。しかし、ASMR作品の魅力は音そのものだけでなく、囁き声でどんな言葉が紡がれているかという「内容」にも大きく左右されます。
そこで、音の物理的な特徴を測るだけでなく、作品の中で何を喋っているか=作品の内容も一緒に扱えるようにしたいと考えるようになりました。これが文字起こしを導入した一番の理由です。
whisper.cppによるローカル完結の文字起こし
文字起こしを実現するために、「whisper.cpp(ウィスパー・シーピーピー)」という技術を採用しました。これは、音声を文字に変換する仕組みを、自分のパソコンなどの手元の環境(ローカル環境)だけで動かせるようにしたものです。
なぜこれを選んだかというと、外部のクラウドサービスに音声データや文字起こしの結果を送らない方針にしたかったからです。手元で処理を完結させることでプライバシーの保護につながり、外部のサービスに頼らないため維持費などの課金も発生しません。抽出した文字のデータは、作品の「音の傾向プロファイル」(音響指標の読み方で解説しているようなデータ)と一緒に保存するようにしています。
レビュー生成と効率化の工夫
この文字起こし機能は、ただ文字を保存して終わるわけではありません。後々、作品のレビューを生成する際の重要な材料として使う予定です。言葉の内容がわかれば、どんなシチュエーションの作品なのかをより具体的に把握できるようになります。
ただし、長いASMR作品のすべてを文字起こししようとすると、処理に非常に長い時間がかかってしまいます。そこで、全文を文字に起こすのではなく、一部の区間だけを抜き出して(サンプリングして)処理したり、YouTubeで公開されている作品であれば既存の字幕データを流用したりと、効率よく内容を把握できるような設計にしました。
この日の学び
- 音の物理的なデータに加えて「話している内容」を取り入れることで、作品の理解がより深まる。
- ローカル環境での文字起こしは、プライバシー保護と運用コスト(無課金)の面で大きなメリットがある。
- 長時間の音声データの処理は、区間サンプリングや既存字幕の流用による効率化が不可欠である。